軌跡
渋谷駅前のスクランブル交差点は、時を関係なく、さまざまな人でごった返していた。そしてその視線の先には、注目を一身に集め、照れたように光る信号機があった。だが、行き交う車が動きを止め、人々が一斉に歩き出すと、冷静さを取り戻したそれには、誰も興味を示そうともしなかった。
人と人の間を縫うようにして進み、公園通りとの境に面したマルイに足を踏み入れた。
「クリスマスプレゼントをお探しですか?」
長身のスタイルの良い女性店員が、営業スマイル丸出しで話しかけてきた。その香水の匂いを嗅いだだけで、思わず顔をしかめたくなったが、そこはどうにか堪えた。
「いえ、クリスマスプレゼントではないです」
「では、誕生日プレゼントですか? こちらとか人気ありますよ」
睦也が答える間もなく、さっさと商品の前へと案内された。あまり絡みたくはなかったが、自分一人のセンスで選ぶことにも躊躇いがあり、黙ってその後に続いた。
「指輪とかじゃなくって、ネックレスを探してるんですけど」
指輪ではなくネックレスを探していたのは、楽器を弾くためだ。指輪だと練習の度に外さなくてはならない。
人と人の間を縫うようにして進み、公園通りとの境に面したマルイに足を踏み入れた。
「クリスマスプレゼントをお探しですか?」
長身のスタイルの良い女性店員が、営業スマイル丸出しで話しかけてきた。その香水の匂いを嗅いだだけで、思わず顔をしかめたくなったが、そこはどうにか堪えた。
「いえ、クリスマスプレゼントではないです」
「では、誕生日プレゼントですか? こちらとか人気ありますよ」
睦也が答える間もなく、さっさと商品の前へと案内された。あまり絡みたくはなかったが、自分一人のセンスで選ぶことにも躊躇いがあり、黙ってその後に続いた。
「指輪とかじゃなくって、ネックレスを探してるんですけど」
指輪ではなくネックレスを探していたのは、楽器を弾くためだ。指輪だと練習の度に外さなくてはならない。