軌跡
 平日の昼間でも、駅前という場所から店は中々の賑わいを見せる。次から次へと流れてくるオーダーのレシートを無心で捌いていく内に、ランチタイムはアッと言う間に過ぎていく。慣れない内は悪戦苦闘したものの、今では体が勝手に動いてくれるのだから、どうってこともない。
このバイトももうすぐ二年目、長く続いた方だ。そろそろ潮時かと思うが、新しいバイトを探すのも面倒で、ダラダラと続けているのが現状だ。
 長年続けても、慣れないことが一つだけあった。ピークを過ぎ、次のピークを迎えるまでの空白の時間だ。仕込みやら掃除やら、やることはあるが忙しくはない。パートのおばさんや、同年代の男女の、くだらない世間話に相槌を打つだけでも疲れてくる。別に人付き合いが苦手なわけではない。だが、積極的に加わろうとも思えなかった。お陰でクールという印象を持たれているが、それもどうでもいい。いってみれば、無関心なのだ。
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