軌跡
「そうでしたか。ペアですか?」
「ペアがいいかなって」
 その後も猛烈な勢いで質問を投げつけられた。シルバーがいいのかプラチナか、それともゴールドなのか、ダイアの有無に予算、イメージというアバウトな質問をされたときには、何も答えることが出来なかった。
「でしたら、これとかこれなんていかがですか?」
 差し出された中の一つを、吸い込まれるように手にした。
「こちら、気に入りましたか?」
 それは二つのネックレスが重なり、ハートを描き出していた。それぞれにはブルーダイアとピンクダイアが埋め込められており、一つひとつは勾玉のような形をしていた。
予算的にもギリギリ納まるし、デザインも申し分ない。だが、他の店の商品も一通り目を通しておきたく、一先ずその場を後にした。
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