軌跡
西小山のアパートに着いたのは、三時手前だった。鍵を開け靴を脱いだ直後、小降りだった雨は、本降りへと変わった。間一髪のタイミングに胸を撫で下ろし、プレゼントの包みをクローゼットの奥へと隠した。
そういえば、優は傘を持っていったのだろうか?
この分では当分止みそうもない。玄関を確かめると、二つのビニール傘が寄り添うようにして立て掛けられていた。駅まで迎えに行くか、そう思い携帯を取り出し、メールで迎えに行くことを伝えた。
優が帰ってくるまでに時間は十分ある。この間に練習をしておけば、夜をゆっくりと過ごすことが出来る。この時間ならば、住人に迷惑をかけることもないし、雨音が他の音を掻き消してくれる。いつもより大きな音が出せる。そう思い、ハードケースからベースを取り出し、そそくさと練習を始めた。
いつもの練習メニューを消化し、携帯を確認すると、一通のメールが届いていた。
『ありがとう。でも傘は借りたから大丈夫だよ。五時くらいには帰れると思うから』
五時か、後一時間はある。迎えに行く必要もなくなり、他にやることも思いつかず、もう一度ベースを握りしめた。
そういえば、優は傘を持っていったのだろうか?
この分では当分止みそうもない。玄関を確かめると、二つのビニール傘が寄り添うようにして立て掛けられていた。駅まで迎えに行くか、そう思い携帯を取り出し、メールで迎えに行くことを伝えた。
優が帰ってくるまでに時間は十分ある。この間に練習をしておけば、夜をゆっくりと過ごすことが出来る。この時間ならば、住人に迷惑をかけることもないし、雨音が他の音を掻き消してくれる。いつもより大きな音が出せる。そう思い、ハードケースからベースを取り出し、そそくさと練習を始めた。
いつもの練習メニューを消化し、携帯を確認すると、一通のメールが届いていた。
『ありがとう。でも傘は借りたから大丈夫だよ。五時くらいには帰れると思うから』
五時か、後一時間はある。迎えに行く必要もなくなり、他にやることも思いつかず、もう一度ベースを握りしめた。