透明人間の恋
―To 透明人間さんへ
名前が分からないのでこうします
いつもいつも私の歌を聞いてくれてありがとう
いつも一人で歌っていたから聞いてくれて嬉しかったです
私は目の手術をしに外国に行きます
ちゃんと会ってお別れが言いたかったけど
ごめんなさい
会ったらきっと私は悲しくて何も言えなくなっちゃう
だからこうして手紙にしました
いっぱい書きたいことはあるけどなんて書けばいいのか分からないです
だから 言いたいことは次に会ったときに
きっとまた会える
そう信じてます
さようならまた会いましょう
P.S.次会ったときは自己紹介をしましょう?
だから名前は書きません
また会えるから
From ―
泣いた 初めて会ったときよりもたくさん
悲しい 苦しい 辛い
そのすべてがあまりにも当てはまりすぎて
Fromの空白の手紙をにぎりしめて
涙が枯れるくらいに泣いた
好きだった 好きだった 大好きだった
これ以上にないくらい
僕はあの初めて歌声を聞いた時から
名前も知らない女の子に恋をした