黒猫
出逢い
私がこの最低男に出会ったのは、忘れもしない。

高校三年の六月だった。



私は、
幼い時から母子家庭
だった為、
母の金銭的な負担を極力減らす為、
高校生になった時から、
学費や生活費を稼ぐ為に
アルバイトを始めていた。


ちょうど高校三年になり、居酒屋でバイトすることにした。


元々は、スーパーのレジや輸入菓子やさんなど、
販売のバイトをしていたのだが、
このバイトを始めた理由は、



給料もいいし、居酒屋で働いてみたかったから。



たったそれだけの理由で入ったこの居酒屋で、
まさかこんなことが起きるなんて、
私が予想できるわけがない。




私が二回目の出勤の時、同い年のリュウと、お店の入口辺りで、前に手を組んで、地元の話やお互いのことを話していた。

割と平日は暇なお店で、女の子の従業員が私だけということもあり、
甘やかされていたのか、お客さんが来るまで、何もすることがなかった。


しばらくすると、
お店のドアが

“チリンチリン”

と鳴り、 全身Y‐3のカッコイイ感じの男性が一人、入って来た。

私が

『いらっしゃいませ』

と言おうとすると、
リュウは、

『お疲れ様です!』

と言うので、
だいたい、このお店の身内なんだろうということはわかった。

この全身Y‐3のカッコイイ人は、店長の顔を見るなり、変なポーズを決めて、カウンターに座った。



店長が、

『新しく入った子。アコ、レイだ。』

『アコちゃん?超かぁーいぃー!レイです!』


『レイさん、よろしくお願いします。』




と、笑顔でかわし、何事もなく、その日は終わった。

レイの第一印象は、

今まで出会って来た中で、初めてのジャンルだ…


って感じ。


この人とはあまり関わらない方がいいだろうな。

って思ったのは覚えてる。





それが正解だった。





これが、
私とレイの衝撃の出会いだった。


私の、まるでドラマのような半年のはじまりだった。
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