黒猫

決意

今までこんな人に出会ったことがなかった私は、少しレイのことが苦手だった。

話を聞くと、レイは以前ここの従業員だったらしい。

今いる従業員とは違い、レイは特に丁寧に仕事を教えてくれた。


私は思った以上に接客業に向いてるらしく、仕事を覚えるのは早かった。

店長やレイはそれを認めてくれて、褒めてくれた。

私としては単純に嬉しく、毎日、仕事がすごく楽しかった。

その間ほとんど毎日レイはお店に来ていた。

いつしかレイは、私の事を《あーちゃん》と呼ぶようになった。



リュウは、仕事面で厳しく、酒癖の悪いレイの事が嫌いで、よく愚痴をこぼしてた。

私も、お酒を飲むと自分勝手なレイは嫌いだったが、悪い人ではない気がして、お店に来ない日は少し淋しかった。

それが恋愛感情だったかどうかは、





覚えてない。





ある日、

『あーちゃん、アドレス教えて?』

と、声をかけて来た。

『レイさん、彼女さんいないんですか?』

『俺彼女いないよー』



少し嬉しかった。
反面、マズイと思った。

結局私はアドレスを教えた。





翌日から、レイからメールが来るようになった。
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