どうも、
「あの、」
不意に言葉を発した朽木の声を聞き逃さないように精一杯拾う。
「なんだ?」と声が裏返るのを抑えながら返事をすると、朽木は目を輝かせながら口を開いた。
「笹田彰くん、でしたっけ?」
声変わりしていても高い声、朽木だけが持っている声で自分の名前を呼ばれて、思わずどきりとした。
飛び出してしまうのではないかと言うくらい高鳴る心音。
それが誰にも聞こえないように、真っ赤になっているであろう熱い顔を隠すように、手のこうで自分の口元を隠す。
「そうだけど、」
ぼそっと呟くと、朽木はそれを丁寧に拾い上げ、ふわりと笑う。
「良かった、合ってましたか。昨日は突然のことだったから、驚いて扉閉めちゃってごめんなさい」
「あ、おう、」
ぺこりと深く頭を下げた朽木から、仄かに良いにおいがした。
(シャンプーか?
って俺、変態みたいじゃねぇか!)
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