どうも、



眼鏡を外した朽木は、先程とは全く違う空気を纏っていた。

俺と目を合わせた朽木は、口角をつり上げ、にやりと笑う。


「ねぇ、会長さん」


先程と同じ言葉をまるで別人のように囁く朽木は、なんだか遊女にも見える。
にこりと言うよりも、にやりと言うような笑みは、決して嫌味ではなく、大人っぽさが映えるだけだった。


「おれと良いこと、する?」

「…は?」


きっちりと閉められたネクタイを緩めながら言う朽木の台詞を、思わず聞き返す。

良いこと?
え、期待して良いわけ?
ていうかこんなとこでして良いのか?
いや、自重とかしねぇけど。する気ねぇけど。


「おれとじゃ、いや?」


しばらく黙っていた俺に痺れを切らしたのか、朽木は小首を傾げながら、じわりと顔を寄せてくる。

嫌なわけねぇだろバカ!
むしろ有難ぇよ!大歓迎だよ!

ごくりと生唾を飲み込み、慎重に朽木の頬に触れる。
あ、やらかい。


「会長さ、ん」


朽木がゆっくりと口を開いた瞬間、部屋の扉が再び勢いよく開いた。





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