どうも、
浮ついてられない
その日は結局、朽木は授業を受けなかった。
少しがっかりしながら鞄に荷物を詰める。
(詰めるっつっても何も持って帰んねぇけど)
帰ろうとしたところで、シャツの裾をぐいっと引っ張られた。
ああ面倒なやつに絡まれてしまった。
「アッキー帰るの?オレとお喋りしない?」
「…しない」
一刀両断で断り、そのまま帰ろうとする。
だが俺のシャツを掴んだあいつは「わーん!待ってよー!冷たいなぁ!」と駄々をこね始めた。
「分かったから!離せばか!」
そう叫ぶと、あいつは「やったぁ有難うアッキー!」と擦り寄ってきた。
ああもう朽木とは大違いだなまったく!
ところでさっきから俺に付き纏ってきた“あいつ”の名前は柊 爽司(ヒイラギ ソウジ)。
爽司の周りにはいつも人がいて、爽司もいつも笑っている。
だから何だか俺は爽司といてはいけない気がして、いつも、拒んでいる。
そんな爽司が何の用だろう。
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