海の思い出
「優って一見遊んでそうだけど
すぐに手出さないんだね。」
あっ!!
言い終わって後悔した。
すると優は
「すぐに友里音に手出したら
やっぱり軽い。
とかいってフラれるのが
嫌だったから…
友里音を大切に
したかったから…」
と答えた。
「そ そうだったんだ」
「手だしてもいいの?」
そう言った優の声は
よりいっそ低く
ドキッとする声だった。
優の顔が近づく。
優の唇があたしの
唇と重なった。
キス……してる…
触れるだけの
優しいキス。
だけど甘いキス。
「友里音顔赤いよ。」
と、笑いながら言った。
「…うるさいよ!
優のぶぁかぁ~!!」
「わかった。わかった!
ごめんごめん。」
時間は6時半だった。
「そろそろ帰るわ。」
「それじゃあね。」
優が帰ってあたしは
軽く唇を撫でた。
まだ微かに温もりが
残ってる。
一瞬だったけど
忘れることはないだろう。
実はあれが
ファーストキス。
大切にとってたんだぁ。
相手が優だった。
優はあたしのことを思って
手出さなかったんだ。
あたしがそういうタイプ
嫌いって知ってて
手出さなかったんだ。
やっぱり優は
優しいね。
優に取ってもらった
くまのぬいぐるみを
枕元に置いて見つめてた。