海の思い出
優も涙を流しながら
一生懸命聞いてくれていた。
「俺。
俺も小さい時に
じいちゃんを亡くしてんだ…
だから友里音の
気持ちはよくわかる。
辛いよな。」
そう言ってあたしの頭を
撫でた。
キーンコーンカーンコーン
微かにチャイムが聞こえた。
「優。ありがとう」
「なーに。
遠慮するな!
泣きたいときは泣く!!
その代わり泣いたあとは
目一杯笑うんだぞ?」
「…うん。
ありがと……
ほんと…ありがと」
「わかった。わかった。
今は何も考えなくていいから。」
あたしはどれだけ泣いただろうか。
気がつけば
真っ赤な夕日が輝いていた。
耳をすましてみれば
グラウンドから
クラブ活動を行っている
声が聞こえる。
時間は4時。
「優?」
「友里音。
そろそろ帰るか。」
「…うん」
今日も優の後ろ。
でも今日は一言も
話さなかった。
家にかえって彩に
メールをうつと
すぐにベッドに潜り
寝てしまった。