オカンの館
 
看護婦の言葉通り暫くして、


「そろそろ麻酔、効いてきたかな?」


と、白衣を着た中年のオッサンの声がした。



オッサン!
おるんやったら最初からお前が診ぃよ!


「ほんならちょっと縫うわな」


しびれた尻は何も感じひんかった。


「そやけど、なんでこんなとこ怪我したんや?」


医者の声は、あきらかに笑ろとる。


「スキーでこけた時に…‥」

「ほほ~? このシーズンには、スキーで骨折した人は何人か運ばれて来るけど、尻裂けた人が来たんは君が初めてやっはっはっ」


好きで裂けたんちゃうわいッ!

笑とらんと早よ縫えッ!!!
 
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