しょうげき

１幕目

一場

ブオォォォ…
俺を降ろしたバスが田んぼの間を這って見えなくなった。
「ド田舎」これが俺のこの町に対する第一印象。
なんでこんなチンケな町に来たのか、詳しく説明すると長くなる。正直めんどくさい。
だから説明は…まぁ、追々という事にしておこう。

紆余曲折あって、俺は１５年間住み続けた街を離れ、この一面田んぼばかりの「翔南坂」に引っ越してきたのだ。

家族は俺を置いて先に翔南坂にきている。
それはまぁ許そう。
許せないのは、地図だ。
バス停から家までの地図。
「こんなんで行けるわけねぇだろ…」
地図には訳のわからないクネクネとした一本道。
周りにヒントはない。
地図上では、右に進めばいいらしい。
「仕方ない…行くか…」