夢者奇譚‐ムシャキタン‐
その生き物は春を連れているかのように温かく、瞳は冬を誘うかのように冷たい
人間の形をした"何か"
その"何か"が怒り狂った私の前に現れて、小さくだけどハッキリと囁いた
『君の欲望は何?』
低く、地を揺るがすような声
だけども、私を魅了する甘い声
その瞳に捕らえられて私は動けなかった
真っ白く透き通った男の形をした"何か"は、黒いマントをヒラヒラと揺らす
それが彼との、悪魔との出会いだった