夢者奇譚‐ムシャキタン‐
「は、い。」
私はゆっくりと頷く
その瞬間、緊張感が張り詰めていた教室の空気が一変し柔らかくなる
別に、嫌々というわけでもなかった
どうせ私は苛められてるんだから大丈夫
そう思ったからだ
それに、可哀相な兎の世話を他に誰が引き受けよう?
私がお世話をしなかったら、兎は短い一生をすぐに終えてしまうだろう
苛められている兎
何故だか私と近しい気がして、目を背けることができないのだ
何時かはこの偽善が身を滅ぼす
そう思っていても、この係はどうしても断れなかった