夢者奇譚‐ムシャキタン‐
そして緩やかに時は過ぎて放課後になる
皆、教科書をカバンに詰め込んだり帰り支度を始めていた
そんな時、ちょうど職員室を帰ろうとしている先生が私を呼び止めた
「利之、係の事なんだがさっそく放課後からいいか?」
先生の話によると、さっそく兎の餌やりを開始して欲しいとの事だ
私はその足で兎小屋まで向かった
兎小屋の前には沢山の兎にやるための餌が置かれていた
私はそれを抱えて小屋の中に入る
「初めまして、兎さん。」
目の端に兎の姿を見つけて、私は兎に向かって微笑んだ
兎の身体は何日も餌をやっていないようにやせ細って所々傷後が目立っていた
きっと苛められたのだろう
「兎さん、今日から宜しくね?」
私が話しかけて餌を置いてやると、兎は嬉しそうに鼻をヒクヒクさせた