夢者奇譚‐ムシャキタン‐
放課後の兎小屋はやけに静かで、さわさわと風の音だけが耳に霞む
まるで私と兎だけの空間のようで、不思議と頬が緩むのを感じた
人の側にいるのはどうも苦手だ
苛めていた時の記憶がどうも甦って来て私を蝕んでいく
そんな事を考えていたからだろうか
私は後ろに揺らめく存在に直ぐに気付くことができなかった
そんな時、鈍い音がする
それも自分の頭からだ
衝撃があった頭を押さえると、手にはドロリとしたものが纏わりつく
手のひらを見ると、それは真っ赤で私の眼は限界までに見開かれた
血だ