サクラノコエ
しかし、俺の誘いを聞いた理紗の表情は、高まる俺の気持ちとは反対に段々と雲ってしまっている。

やはり理紗は『約束』することに対して、抵抗があるのだろうか。

「約束、怖いのか?」

俺の問い掛けに、理紗は小さく頷く。

「相手が俺でも?」

「……」

約束がきっかけの中学時代のもめごと。

大暴れしてしまった過去。

友達が少ない原因。

本当はもっと詳しく聞きたいけれど、それらは理紗の心の触れて欲しくない場所のような気がするから……

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