サクラノコエ
理紗の小さく細い小指に、俺のでかい小指を絡め、軽く2、3回上下に振ってからパッと離し

「約束成立」

と、いまだ戸惑う様子の理紗に、ニカッと笑ってみせ

「とりあえずいつもの時間に、コンビニの前にしとくか。ちょっと遅れることもあるかもしれないけど、そのときはちょっと待ってて。俺、ちゃんと行くから」

さらに強引に話を進めてみる。しかし、やはり理紗の表情は浮かない。

「だからそんな顔すんな。なっ!」

空気を変えるため明るくそう言いながら、かがんで理紗の顔を覗き込むと

「今日、松永さんいつもと違う……気がする」

と、理紗はじっと俺の顔を見つめて不思議そうに言った。

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