サクラノコエ


就職を真剣に考えたときに真っ先に浮かんだのは「今のバイトが好きだ」ということ。

なかでも「接客」が好きだと。

そして漠然と「接客業に就きたい」と思った。

接客と言っても幅広い。特にどの分野だとか、そういう具体的なことはなにも考えていなかった。

夏休みに入る前のことだ。

たまたま母さんに就職のことを聞かれ、とりあえずその思いを伝えた。

すると母さんがその数日後、ひとつの面接話を持ってきた。

母さんは同じ町内に住む小林さんの次男さんが、代官山でイタリアンレストランをやっているというのを知っていたらしい。



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