サクラノコエ
(8)迷い


食事を終えると俺たちは、デパートを後にしてすぐ近くのゲームセンターに向かった。プリクラを撮ろうという話になったからだ。

「すっごいお腹いっぱい」

理紗はその言葉を証明するように、俺と繋いでいない方の手で自分の膨れた腹をポンと叩いてみせる。理紗の腹から、まさに鼓(つづみ)のようないい音がして、思わず吹き出した。

「すげぇ音だな」

「うん!」

俺に笑われたことで恥ずかしそうにするどころか、得意な顔をして理紗も笑った。

「悠人くんも叩いてみる?」

「ば、バカ! 叩くかよ」

やっぱり理紗は無防備だ。
< 201 / 454 >

この作品をシェア

pagetop