サクラノコエ
(8)迷い
食事を終えると俺たちは、デパートを後にしてすぐ近くのゲームセンターに向かった。プリクラを撮ろうという話になったからだ。
「すっごいお腹いっぱい」
理紗はその言葉を証明するように、俺と繋いでいない方の手で自分の膨れた腹をポンと叩いてみせる。理紗の腹から、まさに鼓(つづみ)のようないい音がして、思わず吹き出した。
「すげぇ音だな」
「うん!」
俺に笑われたことで恥ずかしそうにするどころか、得意な顔をして理紗も笑った。
「悠人くんも叩いてみる?」
「ば、バカ! 叩くかよ」
やっぱり理紗は無防備だ。