サクラノコエ
「じゃ、あとでな」

そう締めくくり電話を切ると、それを待ちかまえていたように

「松永悠人さん」

と、後ろから俺を呼び止める女の声が聞こえた。

「え?」

反射的に振り向くと、見覚えのない女が立っていた。

化粧をして多少大人っぽく見せているが、どことなく幼さを感じる。

タメ? いや、高校生か?

突然の呼びかけに警戒心ムキ出しの俺に、女は迷いのないはっきりとした口調でもう一度

「松永さんですよね」

と、確認しつつ今度はバイト先の店の名前も付け加えてきた。


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