サクラノコエ
「ばぁ~か! 怖いなんて、思うわけねぇだろ」

「ホン…ト?」

「おぅ」

俺は嘘をついた。

正直、今だって怖いという気持ちは残っている。

だけどこれ以上理紗を傷つけたくないから。

「だからもう泣くなよ」

俺は理紗の頬につたう涙を拭いながら、嘘を見透かされないように小さく笑ってみせる。

大丈夫。

俺はきっと、理紗を支えてやれる。

……大丈夫。

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