サクラノコエ
「……お前は、俺が好きなんだろ?」

涙が出てきそうになるのをグッと堪えながら、まっすぐに理紗を見る。

「うん」

「ちゃんと言って」

強引にこんなこと言わせて、意地悪だけど。

「大好き……」

「もう一回」

「大好き」

何度もこんなこと言わせるなんて、最低だけど……

「もう一回だけ……」

これは「魔法の呪文」。

俺の気持ちを強くするための。

理紗を守っていくための。
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