サクラノコエ
「一人で溜め込むなよ。俺にだったら話せるだろ?」

和樹が俺を心配してくれているのが、痛いほど伝わってきた。

だけど、今の俺に悩みなんてない。

あるわけがない。

学校もバイトもいつも通り。

就職もとっくに決まってるし、車の免許も無事に取れた。

理紗ともうまく行ってる。

どう考えても、なんの問題もない。

「体調はおかしいかもしれないとは思ってる。でも、本当に一人で悶々としてるとか、そんなことはないから」

「……」

「メシも前ほど食えないだけで、ちゃんと三食は食ってるし」

「う……ん…」
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