サクラノコエ
もしかして!?

試しに窓ガラスに、息を吹きかけてみる。

曇った窓ガラスにぼんやりと浮かび上がる文字。

『ゆうと』

『だいすき♡』

……理紗。

ちっちゃな子供がみたいにベッドの上に両膝をついて座り、外を眺めながら俺の帰りを待つ理紗の姿が目に浮かぶ。

理紗は俺が弁当を買いに行くところを窓から覗きながら、今、俺がしたように息を吹きかけて文字を書いたのかもしれない。

帰ったのはきっと理紗の意志じゃない。

他の人格が出てしまったんだ。

理紗はきっと戻ってくる。そんな気がする。

俺はポケットからケータイを取り出し、理紗のPCにメールを打った。


『理紗に戻ったら帰っておいで。連絡待ってる』
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