サクラノコエ
(4)微妙な関係


6月に入るのを待ち構えていたように、月が変わった途端雨の日が続いた。

そういえば今朝の天気予報で、東京もいよいよ梅雨入りとか言っていた気がする。

しとしと降る6月の雨は嫌いではない。

昼間は傘をささなければいけないし、靴は濡れるし面倒なことは多いけれど、夜、部屋の窓を開けて優しい雨音を聞きながら、ひんやりとした空気の中で寝るのは好きだ。

『これからお仕事?』

『うん』

理紗からのメールは相変わらず毎日届く。

でもその内容は確実に、はじめのころとは変わっていた。
< 70 / 454 >

この作品をシェア

pagetop