サクラノコエ
(4)微妙な関係
6月に入るのを待ち構えていたように、月が変わった途端雨の日が続いた。
そういえば今朝の天気予報で、東京もいよいよ梅雨入りとか言っていた気がする。
しとしと降る6月の雨は嫌いではない。
昼間は傘をささなければいけないし、靴は濡れるし面倒なことは多いけれど、夜、部屋の窓を開けて優しい雨音を聞きながら、ひんやりとした空気の中で寝るのは好きだ。
『これからお仕事?』
『うん』
理紗からのメールは相変わらず毎日届く。
でもその内容は確実に、はじめのころとは変わっていた。