サクラノコエ
前回会ったときにその疑問をふと思い出し、今更ながら

「どうせ来るなら、昨日のメールの時点で「来るかもしれない」じゃなくて「来る」って言っておけばいいじゃん。俺がこっちの道通らなかったら、お前ずっと一人で待たなきゃいけなくなるだろ?」

と言ってみた。すると、理沙は

「いいの。それならそれで。学校始まる時間になったら帰ればいいし。私、約束するのってちょっと怖いから、勝手に来て待っている方がいいの。こういうのって、やっぱり迷惑……ですか?」

と困った顔をしていた。

約束が怖いなんてはじめて聞いたけれど、言葉の感じから理沙には約束がらみの嫌な経験があるのかもしれない。そう思うと、それ以上突っ込んで聞くことができず、小さく「いや」と言葉を返しただけだった。
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