サクラノコエ


仕事を上がり店を出ると、小雨がパラついていた。

昨日のメールの感じでは、多分理沙はコンビニの前にいるはずだ。

傘を開き、コンビニに向かって歩き始める。

理紗はちゃんと傘を持って来ただろうか? 

雨に濡れていないだろうか?

コンビニの中にいればいいけど…… 

歩道のわずかなくぼみに出来た小さな水たまりをよけて歩きながら、ふっと子供のころのことを思い出した。

今はゲーム好きな俺だが、小さいころは家の中でゲームをするよりも外遊びが好きだった。

雨が降れば、いつもと違う遊びができるのが嬉しくて、多少の雨なら気にせず外に出て濡れながら遊んだ。特に、長靴を履いて水たまりをビチャビチャ歩くのが好きだった。

そう言えば、そんなビチャビチャの格好のまま友達の家に遊びに行って、友達のばあちゃんに嫌な顔をされたことがあった。

あのころは、なんであんなにばあちゃんが怒るのか理解できなかったけれど、ドロドロの靴下で家に上がられるのは相当嫌だったんだろうな。
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