君との関係は旦那様!?【許婚新婚編】
「上条聖の秘書で柚野と申します。実は今、人質に取られておりまして……」
柚野さんは人質らしくなく、淡々と説明を続ける。
あたしと一緒にいること、田口不動産の目的……上条不動産に否はないこと。
「上条にこちらへ来いとお伝えください。あぁ、カメラも来てくださって構いませんよ」
全ての説明を終えた柚野さんはそういうと電話を切った。
「ゆ、柚野さん……聖が助けに来てくれるんですか?」
「えぇ、恐らく。きっとたくさんの報道陣を連れて来てくれるでしょう」
だからテレビ局にわざわざ電話?
でもそれじゃぁ騒ぎが大きくなるだけなんじゃないの?
眉をしかめて不安に思っていると、その気持ちを象徴するかのように風が強く吹き付けてきた。
「キャッ!!」
地上何十メートルも離れたところ。
しかも屋根も壁もない吹きっさらしのゴンドラ。
尋常じゃないくらい体で揺れを感じる。