君との関係は旦那様!?【許婚新婚編】
「あ、あの……!」
顔は伏せたままだけど、相手が誰だかはすぐにわかる。
このゴンドラに乗っているのはあたしと柚野さんしかいない。
「大丈夫ですよ。恐くありません」
「柚野さん……」
「人の心音を聞くと落ち着く……などと言いませんか?」
いつになく柔らかい声色の柚野さん。
ゆっくりあたしの頬に手を伸ばし、顔を上げて耳を心臓へ当ててくれる。
トクン……トクン……トクン。
規則正しく脈打つ音。
温かい体温……。
本当だ……ここがどこだか忘れるくらい……落ち着く。