あいたい
彼女が抱えてる問題って、なんなんだろう…こんな小さな体に、どれだけ大きな悩みや苦しみが詰まってるんだろう…
俺は彼女が気になって、しょうがなかった。彼女についてもっと知りたい、少しでも支えになりたい、側にいて安心させてあげたい、そんな気持ちが自分の知らないところでわき上がっていた。
このままでは、彼女に吸い込まれそうだった。だから、この状況から逃げたくなって彼女に「帰ろうか?」と声をかけてみた。
しかし、俺の思いとは裏腹に、「1人にしないで!」と、すごく不安そうな表情を向けてきた。そんな不安そうな反応をされてしまうと、放ってはおけない。俺が守りたい。
俺は不覚にも彼女に恋をしてしまったようだった。
彼女がこんなに大変なときに…
俺は、なにも言えないままイスに座り、彼女が震えるたびに頭を撫でた。
その日の夕方、彼女は退院した。
帰る家がないと言っていたから、俺が彼女を引き取ることにした。