まえがみ




翌朝、洗面所の鏡の前で私は迷っていた。



前髪を上げてニキビを曝け出すか。


この憐れな前髪で登校するか。


いっそのこと、休んでしまうか……。



「邪魔」


そんな究極の選択を強いられていた時、悩みの根源がやってきた。


「誰のせいだと思ってるのよ!」


「……ブスは何したってブスなんだからさ」




ジョキリ



そう言ってきた兄の前髪をハサミでチョン切ってやったのは、言うまでもない。


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