あなた
「何も出来ない自分の自己満足の為に、ユキに、いろんなプレゼントを買って行った。
ユキは、喜んでくれた。
でも、俺は知ってるんだ。
ユキが、本当に嬉しそうにしている時の顔を。

『ユキ、芸能人やスポーツ選手で、会いたい人はいない?
ユキが、好きだって言っていた海外のミュージシャン、誰だっけ?
会いたいと思わない?』

『思わないよ。』

『ユキ、何か欲しい物はない?
世界中から、何だって
取って来るよ。』

『大丈夫だよ。』

『ユキ、何か願い事は、ないの?
俺、いざとなったら結構やる男だよ。
ユキの為なら、人生の手品を見せる事が、出来るんだ。』

『もう、見せてもらったよ。
あなたが、私の前に現れた事が、最高の手品だよ。』

ユキは、何も望まなかった。
わがままを、言ってくれなかった。
でも、

『お願いが、あるの。』

『本当!? どんな願いでも叶えるよ。』

『抱いてほしい。』

『それは、出来ない。』

『私、もうすぐ死ぬんだよ。
危険な事なんて、何もないんだ!』

『ごめん。出来ない。』
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