あなた
ユキは、あんなにきれいなのに、俺以外の人と付き合った事が、ないんだ。
俺は、死ぬ事を決めた。
自分の家族宛ての遺書と、ユキの家族宛ての遺書を書いた。
夜中、病院からユキを連れ出して、俺の部屋に連れて来た。

この時のユキは、本当に美しかった。
触れると、溶けて消えてしまいそうだった。
死ぬ覚悟で臨んだのに、怖かったんだ。
とても、セックスと呼べるもんじゃなかった。
でも、ユキは、『ありがとう。』と言ってくれた。
俺は、ユキに、一緒に死んでほしいと、お願いした。

『俺、ユキがいなくなった世界で、生きて行けない。
ユキも、これから、苦痛と恐怖の中で、死んで行くんだ。
それなら、今から、一緒に死のう。
二人一緒なら、寂しくないよ。』

『私、天国に行きたいんだ。
多分、天国に行けると思うんだよね。
でも、自殺したら、天国に行けなくなるんじゃないのかな。
だって、自分を殺す事も、殺人でしょ。
天国で、あなたが来るのを、ず〜と、ず〜と待ってる。
私が、どんなに変わっていようとも、天国が、どんなに広かろうとも、私を見つけ出してほしい。
天国では、死に別れた奥さんじゃなく、私を選んでほしい。
そして、私と結婚して下さい。』」
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