あなた
「和樹兄ちゃん。自殺した人は、天国に行けないの?
苦しくて、苦しくて、生きる事が、死ぬ事よりも辛くなって、仕方なく自殺した人も、天国に行けないの?
死んだ後も、地獄の苦しみを、味わい続けるの?」

「そんな事ないよ。
ユキだって、そんな事、思っていないんだ。
ただ、俺に自殺させない為に、あんなふうに言ってくれたんだ。

朝になって、病院に戻ると、病院の前で、ユキのお父さんとお母さんが、待っていた。」

「警察に、通報されてたの?」

「されてなかった。
ユキが、何かしらのメッセージを、残していたんだと思う。
俺は、ユキのお父さんに、ボコボコに殴られた。
ユキのお母さんが、止めてくれなかったら、殴り殺されていたかもしれない。

それから、ユキには、会わせてもらえなかった。
『娘も、お前とは、二度と会わないと言っている。』と言われた。

時がたち、ユキのお母さんから、電話が、かかって来た。

『娘が、今、息を引き取りました。
田中さんには、本当に辛い思いをさせました。
私が、口を挟めば、変える事が出来ました。
でも、私の家族にとっても、田中さん自身にとっても、これで良かったんだと思っています。
娘が、自分が死んだ時、田中さんに、この言葉を伝えてほしいと言っていました。
それを、今から言います。

あなたに出会えて、幸せでした。
愛しています。』
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