あなた
お父さんやお母さんの前では、強がって見せていたけど、本当は、死ぬのが怖かった。
『死にたくないよ。もっと、もっと、生きていたいよ。』と、心の中で叫んでいた。
でも、和樹さんは、私の為に自分の人生を差し出そうとしています。
和樹さんを、死なせてなるもんかと思いました。

自殺する行為を止める事は、出来ません。
でも、自殺する気持ちなら、変えられるかもしれません。
私には、出来ると思いました。

私は、和樹さんなら、どう考えるのか、どう行動するのか、考えました。
ベッドの上で、朝から晩まで、来る日も、来る日も。
共有している和樹さんのたくさんの思い出が、後押ししてくれました。

最初に、考え付いたのが、『愛しています』という言葉を、私が死んだ時の為に、取って置く事でした。
『好きだよ』『愛してるよ』と言ったら、どんなに喜んでくれるんだろう。
私は、和樹さんを、喜ばせてあげたかった。
でも、我慢した。

『愛しています』という言葉は、私が死んだ時の悲しみを、打ち消してくれるはずです。
でも、一時的に、悲しみを止めるだけなんです。
すぐに、私が、一人で寂しい思いをしてるから、俺も一緒に行こうと考えるはずです。
これだけでは、全然、駄目なんです。
私は、考えました。
そして、考え付きました。
私の命の期限との闘いでもありました。
< 24 / 31 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop