あなた

手紙

「ユキさんのお母さん。
突然、訪問した私に対して、これだけの対応をして頂き、誠に、ありがとうございます。」

「いいえ。
あなたは、娘と同じ温かさを運んでくれました。
こちらこそ、ありがとうございます。

私は、あなたに、私の知っているすべてを、話しました。」

「はい。
私は、田中君の事を、諦める事が出来ませんでした。
田中君は、私には、何も話してくれませんでした。
でも、田中君のいとこのエリカさんから、ユキさんに対する田中君の気持ちを、聞きました。
そして、ユキさんのお母さんから、田中君に対するユキさんの気持ちを、聞きました。
私は、二人の愛の深さを、知りました。
私には、到底、太刀打ち出来ない、愛の深さです。
私は、田中君の事を、諦めます。」

「これは、娘から預かっていた手紙です。
娘は、あなたが訪ねて来る事を、知っていました。
あなたに会ってみて、娘が、なぜ知っていたのか、分かりました。
不思議ですね。
娘以外の人に、こんな気持ちになる事が、出来るなんて。

この手紙に何が書いてあるのか、私には、何と無くですが、分かります。
私も、娘と同じ気持ちです。
この手紙は、家に帰ってから、ゆっくり読んで下さい。
そして、あなたの心のまま、生きて下さい。」