あなた

「真由美、今まで、黙っててごめん。
悪い噂を流したのは、坂東さんだった。
そして、それを止めさせたのが、田中君だった。
私、中3の時、坂東さんの妹と仲良かったでしょ。
その時、聞いたんだ。
田中君が、何でその事を知ったのかは、分からないんだけど、真由美の悪い噂を流していたのが、坂東さんだと知った田中君は、『西田さんに、二度と、関わらない事を、約束しろ。』と言って、坂東さんに向かっていったんだ。
でも、真由美も知ってる通り、ボコボコにやられたんだ。
だけど、次の日、田中君は、学校の帰り道で坂東さんを待ち伏せしていた。
最初、坂東さんは、おもしろがっていたんだ。
楽しんでいたんだ。
田中君を動けなくなるまで、ボコボコにした。
でも、また田中君は、坂東さんの前に現れた。
坂東さんは、だんだん気味が悪くなってきたんだ。
何度、殴り倒そうとも、自分の前に現れる田中君の事を。
そして、気付いたんだ。
『こいつを殺さない限り、こいつは、俺の前に現れ続ける。』という事に。
坂東さんは、人を殺す度胸もなかったし、そこまでのアクでもなかった。
それで、真由美に、二度と関わらない事を、約束したんだ。
坂東さんは、すごくプライドの高い人だったから、その事を周りの仲間に話さなかったし、田中君も、誰かに話すような人じゃなかった。
だから、この事は、誰も知らないんだ。
私は、坂東さんの妹に、『私が、話したのがお兄ちゃんにバレたら、二人とも何されるか分からないから、絶対に誰にも話さだいでね。』って言われていたんだ。
真由美、ごめんね。」

「田中君って、すごいなあ。
諦めたくないなあ。
田中君が、『プロポーズする』と言っていた人は、どんな人なんだろう？」