あなた
「和樹兄ちゃんとその人の事、私に話してくれないかな。
それとも、私には、話せない?」

「そんな事ないよ。
ユキと出会ったのは、地下鉄の駅だった。
エスカレーターで、俺の前にいた人が、プルプル震えてたんだ。
その人は、エスカレーターを降りると、両手の荷物を下に置いて、苦しそうにしてたんだ。
俺は、『大丈夫ですか?』と声をかけた。
彼女は、『はい。大丈夫です。』と答えた。
でも、とても大丈夫そうに見えないんだ。
エスカレーターでさえプルプル震えてたのに、これから階段を上ろうとしているんだ。
俺は、『荷物だけでも、持たせて下さい。
決して、荷物だけ持って、逃げたりしません。
俺が荷物を持っている間、俺の携帯を、人質として、預かっといて下さい。』と言ったんだ。
すると、彼女は、苦しみの表情の中から、笑顔を見せてくれたんだ。
俺は、『うわ〜!』と思った。
『この人、めちゃくちゃきれいな人だ。』と思った。」

「和樹兄ちゃん。彼女の写メある?」

「あるよ。」

「見せて。



どうなってんのよ。
さっきの人といい、この人といい、何で和樹兄ちゃんの周りに、こんなきれいな人がいるわけ。」
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