初恋 -小さな恋の物語-



わたしは体育倉庫前で待ちぶせしてた。



「あれ、矢島!
さっきさー実梨の奴すごかったんだぜー。
スライダーかかったシュート打ちやがってよー」



わたしは手に汗を握った。


古河ってば、わたしに話す話題はいっつも実梨ちゃんのこと。



「もしかしたら、実梨って大輝(ひろき)よりも上手いかもなサッカー」



太田大輝(おおた・ひろき)。


古河の親友。


サッカーで市の選抜選手に選ばれたんだっけ・・・大輝。




・・・そうよ!




大輝と実梨のサッカー関係をネタにすれば・・・!!






「・・・そうね、実梨ちゃん上手いもんね。
・・・休み時間だっていつも、大輝のこと見てたし・・・実梨ちゃん」






「・・・・・・・え?」






「実梨ちゃん、大輝に憧れてるらしいし、かっこいいとも言ってた。
・・・たぶん好きなんだろうね、実梨ちゃん」





・・・嘘




こんなの全部嘘よ




ただ単に




“邪魔”してるだけ――――・・・




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