君を想うと~triangle love~
「うーん、荒れてるな~。
今日の部長。」




相談者が途切れた頃。
しゅーちゃんがポツリと呟く。




「だって例の水着の責任者じゃない、桐谷君は。」





さっき相談に来てた田中さん(45才・平社員)が飄々と呟きかえす。






「えーっ!?そうなんスか??」


「そーだよ。そりゃピリピリするでしょ。
なんてったって製作に5年もかかった水着だもん。」


「うわー。マジですげぇな、あの人は。」


「そりゃあね…。
あの若さで部長だもの。面白いくらい仕事ができるよ、桐谷くんは。」







フンフンと鼻息荒くしながら話に夢中になるしゅーちゃん達と“いい気味だ”とほくそ笑む私。






その水着のプロジェクトは社運をかけた大がかりなモノ。
広報じゃなくてもみんなが注目してるプロジェクト。




それをどんな風に売り込むか。


桐谷慎の手腕にその全てがかかってる。







困ればいいのよ、あんなヤツ。
私の気持ちをかき乱すあんな悪魔みたいな人……







って!!!!!!!!






違う違う!!!
何考えてんのよ、私~!!!






かき乱されてなんてない!!
ただあのエロ行動に迷惑してるだけっ!!






アイツは天敵。
アイツは天敵…。







頭の中に芽生えた危険思考を追いやるべく。
私はその言葉を頭の中で100回唱えた。

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