君を想うと~triangle love~
あっけに取られて事態をボーゼンと見つめる私。



「大変そうだね~、桐谷くん…。」




いつものように、しゅーちゃんに相談に来ていた田中さん(45才・平社員)が心配そうにドアを見つめる。





「大変…って?」

「上のやり方と桐谷くんの意見が対立してるんだよ。藤堂くんは知らない?」


「「えぇっ!?」」






思わぬ事態にしゅーちゃんと声がハモる。





「桐谷くんは今度の水着を設定価格はそのままでセミオーダー形式にしたものを売りこんでいきたいんだって。」



「お客様1人1人を採寸して…ってこと??」


「うん。よりフィットした状態のものを売りたいんだって。」





うん。
それはわかる。


私も一応は水泳部だったからね。
微妙にフィットしない水着ほど気持ち悪いモノはない。

サイズが同じでもやっぱり丁寧に作ってる水着は気持ちいいもの。






「だけど…。
上はそれをするのは強化選手並みの選手だけでいいと言ってるみたいでね。」


「えっ?!」


「アマチュアには通常通りのサイズ展開で売りつけて…。
開発費を取り返したいみたいなんだよ。」





そんな……。






「桐谷くんはアマチュアだろうと強化選手だろうとウチの発信する一番いい状態のものを使ってもらって。

固定ファンを増やしてクチコミで幅を広げる作戦みたいなんだけどね。


…それは時間がかかる。
上はすぐに結果に繋げたいんだよ…。」




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