君を想うと~triangle love~
そう言って田中さんはしゅーちゃんをじっと見つめる。




「彼が実現したいと思ってることは広報部が実現したいと思ってるのと同じ意味を持つ。」



「…はい。」



「だから…力になってあげようよ、藤堂くん。」






そう言うと田中さんはニコリと笑って自分のデスクへ戻っていった。









田中さんがデスクへ戻ってから。
私は桐谷慎のコトを考えながらパソコンで資料を作る。







知らなかった。




桐谷慎がそんな窮地に立たされていたなんて。






いつも自信満々で。

ムカつくくらいイケメンで。

化け物みたいに仕事ができて。

なんの心配もなく出世コースを歩んでるんだとばかり思っていたのに…。








戦ってるんだ、あの人は。
古い考え、古い慣習と。







そう思うと…少しアイツの見方が変わった気がした。




“桐谷慎”って男の生き方が少しだけ。
少しだけだけどわかった気がしたんだ…。



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