君を想うと~triangle love~
運転手さんにマンションの場所を告げて。
走り続けること更に10分。




「着きましたよ。」




マンションの前に着くと桐谷慎が鞄の中をゴソゴソ漁る。




私はアイツのオデコをペシンと叩くと。



「これでお願いします。」




財布から一万円を取って運転手さんに渡す。






「病気の時までカッコつけなくていいの。」







と見下ろすと。
ヒュゥ~と口笛を吹いて







「おっとこ前~。」







桐谷慎が茶化す。







「当たり前でしょ??」」








と高飛車に微笑むと







「うん。高宮はイイ女。」






と桐谷慎は嬉しそうに笑った。









桐谷慎に肩を貸してタクシーを出ると。
マンションのエントランスにたどり着いた。





キーを差し込んでロックを解除。
エレベーターに乗り込むとためらいなく押した階数は9階。








「誤解しないで下さいね。
病人をほっとけないだけですから。」







正面を見据えたまま。
桐谷慎の顔なんて見ずにそう言い放つと。






「いーよ。
高宮が側にいてくれるなら。」







ぐったりしながら。
桐谷慎は私の肩を強く抱きしめた。
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