君を想うと~triangle love~
目の前には桐谷慎の妖艶な笑顔。


俺様で、自己中で、自信過剰な勝ち誇った笑顔。






「早く言えよ、高宮。」







薄茶のサラサラの髪に整いすぎた顔立ち。
高い身長に似合うブランドモノの高そうなスーツ。


なにもかもがカンペキなこの男。






「……らい。」

「はい?」

「嫌い。
桐谷慎なんて大っ嫌い!!!!!」








私は渾身の力をあげて叫ぶ。







「大体なんでアタシにちょっかい出してくるの!?
アンタがそっとしといてくれたらこんな気持ち味合わなくてすんだのに!!!」




そうよ!!
そもそもコイツが私に絡んでさえこなければ平和だった。






「しゅーちゃんのことだけ考えて、しゅーちゃんのことだけ好きでいられたのに!!!!」






そうだよ。
こんなフラフラしてる私大嫌い!!!







「なんで私に近づくの?
私の気持ちをもてあそんで楽しんでるの??


もう私に近づかないで!!
もう私を惑わせないで!!


嫌い!!
桐谷慎なんて大っ嫌い!!!!」








言い終わると。
ハァハァとあがる荒い息。





酷いこと言ってるのはわかってる。



好きだと言ってくれてる人を酷い言葉で傷つけてるなんて…

サイテー。





だけどここで決別しなきゃいけない。

私は桐谷慎の気持ちに答えちゃいけないんだ。

しゅーちゃんの…為に。







「…よそ見はしたくないの。しゅーちゃんに誠実でいたいの。

だから…サヨナラ。」







そう言った私の目からは。
何故だかはわからないけど、次から次へと涙が溢れていた。
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