君を想うと~triangle love~
追いかけなきゃ!!
今アイツを捕まえないと絶対に後悔する!!





そんなコト、頭じゃわかってるのに全く動かない俺の体。




この期に及んであいつに拒否されるのを怖がってる。


サイテーなコトをしたんだから。

許されないコトをしたんだから。

拒否されて当然。

だけど、ここでアイツを無理やり止めて何度も何度も謝る勇気と俺の気持ちを伝える努力をしていたら。






こんなことにはならなかったのかもしれないのに。








カンカンカンカン









どんどん遠ざかる伊織の足音。

情けないコトにあのときの俺は何もできずに壁にもたれてズズッと座り込んで。

目頭を押さえて涙をこらえるのに必死だった。









「藤堂くん…、私……!!!」






水島が申し訳なさそうに俺に近づく。

いつもなら“大丈夫だから水島は気にすんな!!”って笑える。




だけど……







「ごめん、水島。
今日は帰って。」


「……。」


「俺…、このまま一緒にいたらお前にヒドイこと言っちゃいそうだから。」






今は一人にしてほしい。

他人に気を使えるような状況じゃない。








自嘲気味に笑いながら。

水島にそう伝えると。






アイツは力なくバッグを持ってヨロヨロと歩きながら、何も言わずに部屋を出ていった。
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