君を想うと~triangle love~
その目は…

いつもみたいに試すような目でも、ウソッぽい天使の笑顔の時とも違う。




いつも強気で俺様な桐谷慎が初めて見せた…いとおしむような目。





優しくて…

こんな私の全てを包んでくれそうな目で見られたら調子が狂う。





ダメだよ、桐谷慎。

このまま、流されてもいいかなって思ってしまうじゃない。





こんなはっきりしない気持ちの中で抱きしめられたらすがりたくなるじゃない。









そんな弱い女の部分が顔を出す自分が嫌になって。

この手を取っちゃいけないと言い聞かせていると。




桐谷慎はフッと笑って体を放す。





「ま…、オコチャマな高宮が何考えてんのかくらいはお見通しだから言っとくけど。」









信号は青。

運転に戻った桐谷慎は自信たっぷりにこう言った。









「悩まなくっても遅かれ早かれお前は俺を選んだよ。」


「…はっ!?」



な、何言ってんのこのオトコ!!!!!!








さっきまでのしおらしい態度はどこへやら。

桐谷慎はいつものXL級のデカイ態度でこう言った。



「だって昨日枕元で言ってたよねえ?」

「…は?」

「高宮は俺のこと好きになっちゃったんでしょ~??
“悔しいから言ってやんない”とかカワイーこと言ってたクセに~。」








その言葉を聞いた瞬間。

あまりの焦りに頭の中が真っ白になる。









起きてたの、コイツ~!!!!!!!!!!!!!







「ね?だからお気軽な天国に一緒にいこう。」









桐谷慎は。

いつものフェロモン×10くらいの妖艶な笑みと共に。

こんなヘンタイなコトを言い出した。
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