君を想うと~triangle love~
「ま…。巡り合わせって皮肉なモンだよなあ。
忘れようと最後の砦をくぐった後に、秀人と伊織ちゃんは再会しちゃったんだから。

…2人がどうなっても、俺は何も言えないね。」







カウンターの中で。

タバコに火をつけ、煙をフゥ~と吐きながら。
祐吾さんは優しい顔をしてフッと笑う。








だけど…。

私の中に生まれた黒い疑問。







「あの…祐吾さん。」


「…ん…?」







怖い。

私の女の勘が、確かめちゃダメだと告げてる。

こういうことはしゅーちゃん本人から聞かなきゃいけない…ってわかってるのに、確かめずにはいられない。






「しゅーちゃんの婚約者って…。」

「あぁ。水島のこと?」






コクンと私が頷くと。

祐吾さんは私が何を言おうとしているのかを察したみたいで。

ハァと大きくため息を吐いてしばらく天井を見上げた後。
何かを決心したような顔で私の目をじっと見つめて




「秀人の婚約者の名前は“水島亜美”
俺たちと同い年で同じ大学、同じ水泳部だった。

伊織ちゃんの察しの通り、2人が別れる原因になったあの子だよ。」







と、告げた。

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